世界の賢人たちが描くAIの未来予測、11人目。AIを動かす「頭脳」——半導体とコンピューティング基盤の側から未来を語る人物です。世界最大のAI半導体メーカーNVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン氏。

ジェンスン・フアンとは

ジェンスン・フアン氏(1963年〜)は、台湾生まれ、アメリカ育ちの実業家です。1993年にNVIDIAを共同創業し、もともとはゲーム用グラフィックチップ(GPU)の会社として知られていました。

ところが2010年代以降、そのGPUがAIの学習に不可欠であることが判明。NVIDIAのチップはいまや世界中のAI開発の基盤となり、時価総額は世界トップクラスに躍り出ました。フアン氏は「AI時代のインフラを握る男」と呼ばれています。

「AIの工場」——新しい産業基盤

フアン氏が繰り返し語るのが、「AIファクトリー(AIの工場)」という概念です。

かつて電力が工場を動かしたように、これからはAIが産業を動かす。従来のデータセンターは「情報を保管する場所」でしたが、これからのデータセンターは「知能を生産する工場」になる——そう彼は説きます。

フアン氏が見据える未来の柱は、大きく3つあります。

キーワード内容
AIエージェント自律的に判断し行動するAIが、ビジネスや日常のあらゆる場面で人間を支援する
フィジカルAIAIが仮想空間だけでなく、ロボットや自動運転など現実世界で活躍する
デジタルツイン現実の工場・都市・地球のデジタルコピーを作り、シミュレーションで未来を予測する

「すべての人がプログラマーになる」

フアン氏の発言でもっとも印象的なのは、「これからは、すべての人がプログラマーだ」という宣言です。

従来のプログラミングはコードを書ける人だけのものでした。しかしAIの進化により、自然な言葉でコンピュータに指示を出せるようになった。つまり、人間の言葉こそが新しい「プログラミング言語」になる、と。

AIの未来を「ソフトウェア」から語る人は多くいますが、「ハードウェア」と「産業インフラ」の視点から語れるのはフアン氏ならではです。AIは魔法ではなく、実体のある工場と半導体で動いている——その現実を最もよく知る人物の予測には、独特の重みがあります。

ひとこと

「すべての人がプログラマー」とは非エンジニアの私にとっては非常にうれしいです。AIに日本語で話しかけるだけで何かが動く——それって、もうプログラミングなんですね。これなら私にもできるかも、と思えました。

次は、同じくAIの最前線にいながら、「今のAIではAGIに届かない」と異を唱える人物です。現在のLLM(大規模言語モデル)の限界を指摘し、まったく新しいアプローチを提唱するAI研究者、ヤン・ルカン氏を見ていきます。

参考・引用元

  • NVIDIA GTC 2024 / CES 2025 ジェンスン・フアン基調講演
  • NVIDIA 公式サイト https://www.nvidia.com/

※本記事は、公開されている著書・資料をもとに、その内容を要約・紹介したものです。予測はあくまで各人物の見解であり、将来を保証するものではありません。