世界の賢人たちが描くAIの未来予測、13人目。AIの未来を語るだけでなく、AIで科学的発見を実際に成し遂げた人物がいます。AlphaFoldでノーベル化学賞を受賞した、Google DeepMind CEO、デミス・ハサビス氏です。

デミス・ハサビスとは

デミス・ハサビス氏(1976年〜)は、イギリス出身のAI研究者・起業家です。幼少期からチェスの天才として知られ、13歳のとき、14歳以下の世界ランキングで2位になったこともあります。ケンブリッジ大学でコンピュータサイエンスを、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで脳神経科学の博士号を取得しました。

2010年にAI研究企業DeepMindを共同設立。2014年にGoogleが買収し、現在はGoogle DeepMindのCEOを務めています。

AlphaFold——AIが科学を変えた瞬間

ハサビス氏が率いるDeepMindの最大の成果が、AlphaFold(アルファフォールド)です。

タンパク質は、生命を動かす「部品」です。その機能を理解するには、タンパク質がどんな形(立体構造)をしているかを知る必要があります。しかし、この構造予測は生物学の超難問とされ、一つのタンパク質の構造を解明するのに何年もかかることがありました。

AlphaFoldは、この問題をAIで解きました。2億個以上のタンパク質の構造を予測し、そのデータを無償で公開。医薬品開発や生命科学の研究を劇的に加速させました。この功績により、ハサビス氏は2024年のノーベル化学賞を受賞しています。

「AIは科学のための究極のツール」

ハサビス氏が描くAIの未来は、「AIによる科学的発見の加速」です。

領域AIがもたらす変化
創薬新薬の候補物質の発見にかかる時間を数年から数週間に短縮
材料科学新しい素材(バッテリー、半導体など)の設計をAIが支援
気候変動気象モデルの精度向上、CO2吸収技術の開発
数学数学の未解決問題にAIが新たなアプローチを提示

ハサビス氏は「慎重な楽観主義者」を自認しています。AIは人類最大のツールになりうるが、その力を安全に使うための研究も同時に進めなければならない。AlphaFoldの成功を裏付けに持ちながら、リスクにも目を向ける——その姿勢が「両面」の賢人たる所以です。

ひとこと

「AIで科学を変える」と言う人は多いですが、実際にノーベル賞を取った方はこの人だけです。言葉だけでなく結果で示しているからこそ、この人が「慎重に」と言う言葉にも重みを感じます。

次も同じく「両面」の賢人です。AIの驚異的な可能性を論じつつ、安全性を最優先に掲げるAnthropic CEO、ダリオ・アモデイ氏を見ていきます。

参考・引用元

※本記事は、公開されている著書・資料をもとに、その内容を要約・紹介したものです。予測はあくまで各人物の見解であり、将来を保証するものではありません。